付録 男女共学むかしいま
                          
50期 永森邦雄


◎「むかし」――終戦後の学制改革と高等女学校

 戦前から続いてきた高等女学校制度は、戦後の学制改革により廃止され昭和23年4月から新制高校が発足した。この学制改革の主要な要素であった男女共学の公立高校での実施は、全国的にも神奈川県内でも様々であった。その実施形態は、今回の収集された記念誌等から窺うと、次のように大別できそうである(実際はもっとバリエーションがある)。

 1 昭和23年4月、新制高校発足の際に共学を実施したところ

  これには、旧制一中と合併。旧制中の男生徒と旧高女の女生徒とを、半数ずつ交換して共学化したなどの例があった。

 2 昭和25年4月、新制中学からの卒業生を受け入れた1年生から共学実施。

  (母校はこの例に当たる)

 3 学制改革の際も、女子のみの高校として発足。

  (これらの学校には、その後共学化されたものも現在も女子校のものもある)

府県別に見ると、1のケースは中部以西、3は東北地方、2は東京近辺にそれぞれ多く見られるが

これは、各県の占領軍の教育担当軍政官の政策に左右されたこともあったと思われる。

 和歌山県では新制高校発足時、公立高校の校名を一時的ではあるがA高校、G高校等とアルファベットの校名をつけて、まったく新しい学校だとして、それぞれの学校の歴史を引きずらないよう徹底した改革をおこなった。

 従って、今回の記念誌収集の対象校の中には、旧一女高と旧制一中双方の歴史を引き継ぐ学校も、形式的には旧一女高の歴史を引きついたとは断言できない学校もある。

◎女子高として存続してきた高校の「いま」

 戦後の学制改革から半世紀以上が過ぎた現在、女子高として存続してきた学校の共学化の動きが顕著になっている。県内県外を問わず私学女子校の共学化が進んでおり、県立高校でも福島県では、長らく男女別学を通してきた県立伝統校が共学化に踏み切り。埼玉県でも、別学の伝統校の共学化への要望が強まり新聞紙上を賑わしている。また、神奈川県立高校でも、創立以来の女子校である小田原城内高校の平成16年度小田原高校との合併が決まっている。

 これは、現代社会が男女共同の社会である以上自然な流れであって、「女子別学」の魅力が失われてきている証左と考えられる。母校及び真澄会に、共学堅持のための努力が望まれる所以である。



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